高校時代、英語教師がカツラでした。
カツラであることを隠しているタイプのカツラユーザーでした。でも、皆んなにバレていました。
ちなみに、優しい先生で僕は先生のこと好きでした。
僕の中で先生に学んだ事は、英語などではなく「カツラは絶対にバレる」という一つの真理でした。
そういう意味で、英語教師でありながら、僕にとっては真理を諭してくれる哲学の先生でもありました。
「なぜ、隠すのか」 「why hide?」
そして、
「なぜ、バレるのか」 「why found out ?」
近くに先生の顔があると、どうしても視線が頭に行ってしまいそうになり、それを抑えるのに必死でした。そしてそれは、僕なりの気遣いでした。
ある日、テストの出来のあまりの悪さに先生に呼び出されました。
「これじゃどこの大学も入れないぞ!」
と、この時点で進学するつもりの無い僕は、
「はい。いいんです。大学行かないので。」
「大学も出ないで、どうするんだ?」
「いや、別に…」
「先生に隠し事はダメだぞ!」
(……。)
という、不毛なやり取りがあったことを覚えています。(カツラだけに)
こういうことですから、結局最後まで進路のことは何も打ち明けずに卒業しました。
言葉の説得力について考えることがあります。
同じ事を伝えるためでも、「どんな言葉を使ったか」。この差だと思います。
その先生も、
「隠し事をするな」では僕的に何も話す気になれませんでしたが、
例えば、こう言われたら…
「進路のこと、誰にも言わないから先生にだけこっそり教えてくれないか?秘密は守るから…。」
(すんごい守りそう。現に秘密守ってるもんね先生、バレてるけど…口割らない姿勢は頑なだもん。話してみようかな…。)
このように「進路の話を聞かせてほしい」という本質の部分は同じでも、使う言葉を変えるだけで説得力が全然ちがいますよね。
説得力ってつまり、
その人の身の丈にあった言葉を使ったとき、そこに自然と備わっているもの
なのかもしれませんね。
これがとても難しいことのように思われます。
ついつい僕も必要以上に大きく出たり、へりくだったりと、なかなか身の丈にあった言葉選びができてないような…。
そーいえば、もってるシャツも大体オーバーサイズだし…。
言葉もシャツも、フィット感、大事にしていきましょ…。
(完)
かわなべひろき (美容師、自宅録音家)
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