サブウェイに行ったことのある人なら誰でも知ってる。
サブウェイはお客の注文を受け、目の前のガラスのショウケースからトッピングを取り出して、サンドイッチを仕上げてくれる。
目の前で、サンドイッチ作りのライブが見れる。
僕と妻は、ローストビーフのサンドイッチをテイクアウトで一つだけ注文した。
あとで公園で二人で分けて食べようっていう寸法。
店員「パンは焼きますか?」
僕 「はいお願いします。」
このやり取りから、サンドイッチ作りのライブはスタート。
心なしか、店員さんの眼差しには、オーディエンス(僕と嫁)をがっちりエンターテイメントしてやる!という色が伺えた。
注文通りパンをオーブンに入れる。
焼き上がると素早く取り出して、僕達が注文した具材をトッピングしていく店員さん。
今日は日曜日。
作ってくれる店員さんは、年の頃20歳前後の、いかにも学生といった風情の女の子。
名前を仮に「みずきちゃん」としておく。
学校が休みの日に、一生懸命アルバイトをしているなんて、みずきちゃん、なんて健気なんだ。きっと布団カバーの柄は羊だ。それくらい健気だ。
そう言えばクリスマスが近づいている。
なるほど、きっと彼氏に贈るプレゼント代を稼ぐ為に、バイトのシフトも詰め気味。今せっせサンドイッチを作っているのだな。
オシャレに敏感な年頃。
プレゼントは財布かな?それとも靴?
変化球でまさかの、こけし?
みずきちゃんの手さばきは見事なもので、
ローストビーフ、オリーブ、トマト、ピクルス、必要な具材を納まるべき場所に納めていくその手つきたるや、自分の部屋の収納もさぞかし整然たるものと想像させるに充分であった。
僕「あ、すみません、レタスだけ多めにできますk…」
みずきちゃん「はい」
すごい。
質問を言い終わるか否かのタイミングで、食い気味の返答。
レタスの増量の注文にも卒なく応対。
あなたは、こう思うかもしれない。
「いやいや、レタス増量するだけの注文、誰でも卒なく応対できるわ。」
僕は言いたい。
「それがライブでなければね!」
そう、ここはサブウェイ。
サンドイッチ作りはライブなのである。
お客の視線をバシバシ手元に感じながら、レタス増量の注文が来たとしたら?
例えるなら、
玉を6つまでジャグリングできる大道芸人が、5つジャグリングしてる最中に観客から、「玉、増量できますか?」と言われているのと一緒である。(わかりにくいし、多分例えになってない)
とにかく、みずきちゃんは、サンドイッチ作りも終盤にさしかかったタイミングでのレタス増量も、あくまで自然に、産まれたてのウミガメが海を目指すように、やり遂げてくれたのであった。
みずきちゃん「ソースはどれにしますか?」
僕「わさび醤油d…」
みずきちゃん「はい」
すごい。
質問に対する答えを言い終わるか否かのタイミングで、食い気味の返答。
みずき、分かってたよ。
わさび醤油選ぶの、みずき、分かってたよ。
そんな彼女の心の声が聞こえてきそうなほど、わさび醤油のソースが入ったディスペンサーを振る自信に満ちた手の動き。
オーケストラの指揮者が振るタクトを思わせる。
なるほど、
パンに始まる各具材を楽器に見立てた時に、
みずきちゃんは確かにこの瞬間、
「ローストビーフサンドイッチ」と言う名のオーケストラを指揮する、マエストロであった。
オーディエンス(僕と嫁)はスタンディングオベーション!
心の中で鳴り止まない拍手喝采をみずきちゃん、いや、マエストロに贈る。
そうして、出来あがった
ローストビーフのサンドイッチを提げて、僕たちは公園へと向かったのであった。
結論から言おう。
マエストロみずきちゃん率いるオーケストラ
「ローストビーフサンドイッチ」
狂い無く、名演であった!!!!
彼氏にプレゼント、何買うのかなぁ…
〜完〜
*おわりに…
せっかく書いてるブログなので、一人でも多くの人に読んでい頂けると嬉しいです。
器の大きい読者様には、
器の小さい読者様も器が小さいなりに、読んで下さって本当にありがとうございます。