子供の頃、学校や周りの大人たちから、「ラクをしてはいけない。若い内の苦労は買ってでもしろ。」みたいなことを度々教わりました。
でも、どうして洗濯機でもリモコンでも僕たちの日常生活はラクをする為の便利な道具で溢れかえっているのに、そんな事を言われるのだろう?と、子供心に謎で仕方ありませんでした。
もしや、大人が子供叱る為に仕掛けた罠なんじゃ?と訝って、
例えば、リモコン使ったら親父からハイキック飛んでくるんじゃないか…みたいな妄想にかられることもしばしばでした。
大人になった今、子供の頃に感じた大人に対しての矛盾に自分が染まっていないか?あるいは、その矛盾は解決されたのか?ということが、ふと脳裏に浮かぶことがあります。
ちなみに、先の「ラク」に関しての矛盾はとっくに解決しています。
「そうゆうものなのよ」が答えです。
確かにね。ラクをするなと言いながらね。お前の言う通りラクするための道具ばっかりだよな。ほんとその通り。不思議だよな。変だなって思うよな。なんでか分からないよな。
でもな、 「そうゆうものなのよ」
親とは偉大です。答えを知っているから。
幼い頃「なんで?」責めをしているとよく母親に言われましたよ。
「大人になればわかるのよ、あんたも」
「そうゆうものなのよ」
子供の頃はこの答えに全く納得がいかずヤキモキしたものです。
しかし、さすが母親。時を経て大人になったらほんとに言う通りでした。
大人になってわかったんです。
この世界の多くは
「そうゆうものなのよ」
で構成されているということが。
僕の友達のシングルマザーが、通信教育で学校に入ったんです。
奨学金ではないんですが、申請すれば学費を公的に支援してくれる制度があるんですって。(もちろん条件つきで、詳細は知りません)
ところが、学校が3年制でそれを知ったのが丸2年ほど経過した時。
残り1年とは言え、支援で受けられる額が額だったので、役所に申請に行ったようです。
案の定、1年次、2年次の学費の支援を遡ってもらう事は出来なかったそうです。
こちらが支払う分に関しては、どこまでも遡って、地の果てまでも督促してくるのに、もらえる分に関しては、あちらからは何の知らせも無いばかりか、申請にいっても時間が過ぎた分に関しては、
「ハイ、タイムアウト〜。」
で、一蹴。
変ですよね?不思議じゃないですか?何でなんだろう?って思いますよね。
でもね、そんな疑問の答えはこれ。
「そうゆうものなのよ」
なんですよ。そうなんです。
多分、役所の窓口の人も、こんなことは何べんも何べんも色んな人から言われまくってると思うんですよ。
でも、そうゆうものだから仕方ないのでしょう。どうすることもできない。
疑問を感じたら負けなんですよ。
この世界を少しでもストレス少なく生きる為のコツは「そうゆうものだよなぁ」と言って思考を停止させることが重要なんです。
20代の頃バイト先で、部長と次長を交えて三者面談がありました。
表向きは「スタッフの意見を聞いてより働きやすい職場環境を整えていきたい」といったものでした。
「かわなべくんも、仕事していて普段感じる疑問や不満があれば会社のためだと思って、なんでも聞かせてくれ」
と言われたので、「このご厚意ありがたし」と、10分くらいでしたか、いくつも意見したら(出し足りないくらいだった)部長に言われました。
「若えから、視野が狭いな」
当時は僕もまだ人生経験が足りずによくわかっていなかったんです。
「そうゆうものなのよ」なる世界の存在を。
だから、面談の後どちらかというと不満が増えましたし、以来(気のせいか)部長が挨拶返してくれなくなったんですよね。
不思議で仕方なかったんですよ。
なぜだろう?意見を聞かせてくれと言われたから意見したのに?え?どうしてなんだろう?
当時の僕に話して聞かせてやりたいです。
「そうゆうものなのよ」
難しい顔するなよ!
思考をやめて踊らないか?
そうゆうものなんだから、仕方ないだろ?
(完)
かわなべひろき (美容師、自宅録音家)
⚪︎音楽 https://soundcloud.com/kawanabehiroki
⚪︎勤務先美容室 https://mekashiya.amebaownd.com/