かわなべひろきのブログ

日々の雑感とか

【32年前、母の胎内で聞いた会話】

32歳になった。


32年前の雪の降る、それはそれは寒さの厳しい朝だった。
宮崎県都城市の、とある産婦人科の一室で、「おぎゃ〜っ」つって産ぶ声をあげたのが、昨日のことのように懐かしい。

頑張って産んでくれた母親の顔を見て、「おぎゃ〜っ」つったら、泣いて喜んでたっけ…。



大紀(ひろき)という名前をつけてもらった。
母の腹の中にいる時に、大人達が名前を何にするのかでああだこうだ話してる声が、外からよく聞こえてきた。


ーーーガヤガヤ…ガヤガヤ…ーーーー


「次の子の名前はなぁ、よしっ!平和と書いてピースはどうだ?」


胎内の俺
 (うわぁ〜、それは勘弁。就活不利になる。)


「何言ってんの、それじゃまるでアメリカ人みたいじゃないの笑。だめだめ!」


胎内の俺
 (いいぞいいぞ!多分アメリカ人にピース君っていねーけど。対案よろしく!なるたけフツーのヤツな!)
 

「もっと男らしい漢字をつかって、翔龍で、ショウタなんてどう?」


胎内の俺 
 (当て字な。読み方悪くないけど画数多いわ。テスト不利なるわ。変えてくれ〜)


祖母
「いやいや、この子には戦争で死に別れた兄さんの分まで頑張って生きて欲しい!兄さんの名前を継がせたいの!三郎!サブローよ!」


胎内の俺  
(重ーーっ!重いわー。産まれるの苦痛ーー!それに二男なのに三郎て…紛らわしーっ!)


「そしたら鉄男と書いてアトムなんでどうだ?いかにも未来を生きる男の子って感じで!もちろん鉄腕アトムから取ってな。」

胎内の俺 
 (終わったーー!親父は黙っててくれーーー!!「ども、川邊アトムです。」って自己紹介したくねーーー!!あんたのセンスが遺伝することだけは無いようにと神に願うーーー!)



「何言ってんの!あなた手塚治虫もロクに読まないくせにこんな時だけ!だめだめ!」

胎内の俺  
(いいぞいいぞ!反対してる理由がちょっとズレてるけど!対案よろしく!なるたけフツーのヤツね)


「最鋭輝って書いてモトキなんてどうかな?」

胎内の俺
(惜しぃっ!!さっきからあんた惜しいわ!当て字はともかく、読ませ方は悪くないのな。ただ画数多い。テスト不利なるって)


祖母
「いやいや、この子には戦争で生き別れた…」
胎内の俺
(死に過ぎーっ!兄弟生き別れし過ぎーっ!!誰かの名前継ぐの重いーーー!)



祖父
「まぁ、おまえたち、各々思いはあるだろうが、大紀(ひろき)でいこう」  

一同
「へっ!?なぜ?」


祖父
「大という漢字を使いたいのだ。人という字に一を足して大。この子には、なんというかただの人ではなく、なんかプラス1されたような…なんつーかこう、想像力とか、個性とか?なんつーかさ、ほら、まぁそーゆう感じ?あんじゃんなんかそーゆう系のさ…」



ーーーーガヤガヤ…ガヤガヤ…ーーーーー



当て字で、読み方は「ひろき」。
祖父の、抽象的な雰囲気論から放たれたこの名前を僕は気に入っている。


母の腹の中で聞いた、大人たちのそんなやりとりが懐かしく思い出された32歳の始まりである。



〜完〜



*おわりに…


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あざす。


川邊 大紀